小児科のナースには、他の診療科のナースにはない課題がある。例えば、家族看護がより重要視されるということや、小児科特有の看護技術が必須とされることなどがあげられる。患者自身で意思決定をすることが難しい小児看護においては、家族が患者に対する治療の選択を迫られることが多い。自分自身の生活の上に子供の看護が加わることで、患者の家族は心身ともに追い詰められていくケースもある。
小児科のナースは、ソーシャルワーカーなどと連携して家族に寄り添っていく役割があるが、家族看護は非常に経験や人間性が求められる技術である。デリケートな問題も多いため、時には家族から拒絶されてしまうこともあるかもしれない。
また、小児の疾病には成人にはない特殊な病態も多く、成人看護の常識が通用しないこともある。注射や点滴、ルート確保などの基本的な技術さえ、小児と成人では異なった対応が必要になる。そのため、新人の小児科看護師は、自分の知識不足やスキル不足に壁にぶつかることも多いだろう。
これらの課題への対応としては、課題を自分だけで抱えずに先輩や上司に頼ることが大切である。医療は、個人ではなくチームで動くものである。
例えば、家族看護において、保護者の協力がなかなか得られないという場合、若いナースよりもベテランのナースならば家族も安心して悩みを共有できるというケースがある。自分では難しいと判断したら、先輩に頼ることはとても大切な視点である。
チームで課題に向き合っていくことで、小児科ナースとしてのスキルアップを期待することができるだろう。